キルケゴールは、この言葉をどの著作のどういった文脈で使ったのでしょうか?
その言葉は、「結婚するがいい、そうすれば君は後悔するだろう。結婚しないがいい、そうすれば君はやはり後悔するだろう。」です。
この言葉だけを読むと、どっちにしろ後悔することになるんだという極めて絶望的な意味にしか受け取れないのですが、もしかしたら彼は著作の中では別の意味で使っているかもしれないという一縷の望み(?)もあります。また、この前後の文脈を読むことによって新たな発見があるかもしれませんし、逆にもっと悲惨な内容(?)が書かれているかもしれませんが、それは読んでみないことには分かりません。
キルケゴールの名はその昔、共通1次(現センター試験)の「倫理・社会」(今そういう科目はないかもしれませんが)の受験勉強中に初めて知りましたが、著作を読んだことはありません。また、今回質問に当り、過去のQ&Aにも当りましたが、この言葉に関するQ&Aはありませんでした。ただ、『死に至る病』という著作があったことはそこに書かれていて、その本の題名は思い出しました。それでしょうか?また、もし仮にこの本だとして、これがとても難解なもので、いきなり読むより何か入門書的なものから読んだ方が良いのであれば、それも併せて教えて頂けますと幸いです。
ご存知の方はぜひ教えて下さい。よろしくお願いします。
投稿日時 - 2005-05-10 01:51:03
『あれかこれか』というのは、キェルケゴールの最初の著作です。
このサイトには原文を含め、簡単に紹介してあります。
http://home.clear.net.nz/pages/ccreegan/papers/eithers.html
まず個人が選択することになる実存(厳密に定義しようと思うと大変なんですが、ここではごく簡単に、自己の存在ということに自覚的・主体的になって存在しようとする在り方、ぐらいに考えてください)のありようには、まず「美的段階」がある。
そこでご質問の文章が出てくるわけです。
サイトの原典引用箇所を簡単に訳してみると、こんなふうになっています。
(大意)
結婚するがいい、そうすれば後悔するだろう。 結婚しないがいい、そうすればやはり後悔するだろう。 結婚するかしないか、いずれにしても後悔することになる。 結婚するか、しないかのどちらかしかないのだが、いずれにしても後悔するのだ。
世の愚者どもを笑うがいい、そうすれば後悔するだろう。愚者どものために泣くがいい、そうすれば後悔することになるだろう。世の愚者どものために笑おうが泣こうが、いずれにしても後悔するのだ。愚者に対しては笑うか泣くかしかないのだが、いずれにしても後悔するのだ。
以下、
「少女を信じるがいい、そうすれば後悔するだろう。……
「首を吊るがいい、そうすれば後悔するだろう。……
という内容が続きます。
どのような選択をしても、この美的段階の生き方では、後悔と絶望がついてまわる、と言うのです。
そこで、倫理的な生き方が開けてくる。
ご関心の領域から離れるかもしれないので、簡単に言うに留めますが、そこにおいてもやはり、善と悪の選択というもんだいは、不安と絶望へと人を導く、といいます。
そこで、キェルケゴールは絶望を選ぶがいい、と言うのです。
もちろん、これは単に絶望を勧めるのではなく、さらに「宗教的段階」へと進むためのステップとして、絶望を選択せよ、そうして、自己自身を選び取るのだ、と続いていきます。
参考URL:http://home.clear.net.nz/pages/ccreegan/papers/eithers.html
投稿日時 - 2005-05-10 20:40:54
ghostbusterさんのこのご回答と、過去の質問「キルケゴールの思想について教えてください。」
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=200465
に対する回答とを併せて読むことによって、ようやく今回の疑問が氷解しました。
ありがとうございます。
投稿日時 - 2005-05-11 21:04:04
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回答(2)
こんにちは。
>、「結婚するがいい、そうすれば君は後悔するだろう。結婚しないがいい、そうすれば君はやはり後悔するだろう。」
「あれかこれか」という著作だと思いますよ。
プロフィール、著作等。読書の参考にも。
↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%83%AB%E3%82%B1%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%AB
投稿日時 - 2005-05-10 06:43:57
ご紹介頂いたサイトはとても分かり易く、キルケゴールを理解する上で大変役に立ちました。
ありがとうございます。
投稿日時 - 2005-05-11 21:07:01